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正常化バイアスとは何か?

人は災害が起こってもなかなか行動を起こそうとはしません。人間は「正常化バイアス」という特徴をもっているからです。

元々人間を守るために備わっているこのプログラムですが、災害が急に発生した場合は人間の生命を危険にさらす危険性があるものです。

今回の投稿では正常化バイアスが発生する仕組みとこの正常化バイアスが問題になった事例を説明させていただきます。

正常化バイアスの仕組みについて

我々人間は危険に直面してもそれを感知する能力があるとは言えません。

台風、地震、洪水などの災害時に避難指示が出された場合でも
それを守って避難する人は驚くほどに少なくなります。

この現象は日本だけでななく、海外でも同様です。これまでの世界での研究によりますと災害の危険を防止するために
避難指示がだされてもなかなか避難という行動に移りません。

災害発生前の状態を当然のことと考え、いや慣れすぎてしまい危険の発生を
実感できなくなってしまっているのです。

私たちの心は予期せぬ以上や危険に対してある程度鈍感になるように設計されているようです。日常の生活を行っていて常に外部の環境変化にいちいち反応していては我々の神経は疲れ果ててしまいます。

外部環境の変化に対していちいちピリピリと反応していては、我々の精神は擦り切れて
ぼろぼろになってしまいます。

そのような状態を避けるために、人間の心と体はある程度の余裕を持つようになっています。外の世界のある程度の環境変化は異常と感じずに、我々の心と体は処理するような仕組み、この仕組みを正常化バイアスと呼んでいます。

外の環境の変化に惑わされずに自ら心を安定化するのは正常化バイアスの重要な役割なのですが、災害の危険に身をさらすことになっては本末転倒ですね。

日本で正常化バイアスが働いた例

東日本大震災で大津波が東北地方を襲いましたが、実際の津波の来襲にあたり何も行動しない人がいたことが指摘されています。

地震発生後の人々の導線はデータとして存在していましたが、ここ数年のビッグデータ分析の技術の発達により、より詳細の分析ができるようになったのです。

ある地域での津波の被害地域では住民のほとんどが避難指示に反応せず、実際に津波を見てから避難を開始して、結局間に合わず、津波に飲み込まれてしまいました。

海岸から5km離れた石巻市立大川小学校で、生徒74名と教師10名と運転手一名が、避難先の選定を誤るなどして結果的に避難が遅れて全員が死亡した件では正常化バイアスによる楽観思考が原因であると言われています。

海外で正常化バイアスが働いた例

2003年に韓国の大邱市で起こった地下鉄火災事件です。
死者198人以上という大惨事をもたらしました。

一人の放火犯が引火性の液体をホームにぶちまけてホームに停車中の電車が炎上を始めましたが、反対側のホームに停車していた列車にも、放火された列車からの熱を受けて炎上を始めました。

反対ホームに停車していた列車の車内では、「軽い事故が発生したので社内で待つように」や「しばらくお待ちください」というアナウンスがあったようです

反対側の列車の中では、侵入してくる煙にも耐えるように座り続けている
乗客の姿が撮影されています。

この写真では鼻をハンカチで抑えている人や座席から立ち上がっている人なども
みられますが、じっと座席に座ったまま何ら行動を起こしていないように見える
人もたくさん撮影されています。

写真全体の雰囲気から全く緊迫感が感じられませんし、何か他人事のような空気さえ感じられます。
この写真こそがまさに正常化バイアスが働いている証拠なのだとわかります

(現状写真の掲載は制限がついていますのでこのサイトでは掲載ができません)

自分の正常化バイアスをどう克服するのか?

このように正常化バイアスというものは緊急のシチュエーションで自己保存の目的で出てくるなかなかやっかいな代物です。

このバイアスを克服していざというときに体が動くようにするにはどうすれば良いのでしょうか?

結論からいって徹底した訓練です。正常化バイアスとは災害の発生の兆候に対して人間の安定性を保つために動作する無意識の動きです。正常化バイアスという無意識が動作する前に、体が避難のアクションを取れるように体を慣らしておくのが有効になるのではないかと思います。

防災訓練は地方自治体や、お住いの地域で時々開催されていますので、是非時間をとって訓練場所に足を運んでいただければと思います。

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